BPOの「血液型を扱う番組」に対する要望

BPOの「要望」は血液型を否定していない

2004年にBPOが出した『「血液型を扱う番組」に対する要望』についての解説です。この要望は「血液型と性格は非科学的」という内容ではありませんので、どうか誤解のないようにお願いします(笑)。その理由は、岡野誠さんがBPOを提訴した裁判の結果でわかります。

 血液型研究家の岡野さんは、この「要望」が不当だとしてBPOを提訴しました。控訴審で結審し、結果として原告敗訴となりました。
この判決文はなかなか面白いです。丁寧に読み解いてみると、原告の岡野さんの実質的勝訴であることがわかります。なんと、統計を駆使した能見正比古さんの「血液型人間学」は、この「要望」には含まれていないというのです!

つまり、BPO自身が血液型人間学は非科学的とは言っていないということなのです。信じられないかもしれませんが、ウソのようなホントの話です。 

 

控訴審判決の要旨

  1. 本件要望においては、本来の血液型人間学ないし、血液型人間学について何ら触れていない。
  2. 放送各局は、番組の改善をしつつ配慮するなら、血液型を扱う番組自体を放送するのはよい。
  3. よって、本件要望は原告が問題としている血液型人間学とは関係がないため、請求は却下・棄却する。

控訴審判決の抜粋

  1. 本件要望は、たとえば血液型占いなど明らかに科学的でない事柄をあたかも科学的であるかのように扱うことに対する見直し、改善を求めているのであって、科学的根拠が実証された事柄を放送することについて問題視したり、排除したりしているものでもない。
  2. 本件要望が、(中略)血液型と人間の性格、行動パターン、病気等との関係を学術的に研究する学問自体の存在自体を否定したり、これについても占いの類と同列であるとして否定的な評価をしたりするものではないし、学術的に裏付けられた内容で、しかも、青少年にも配慮して番組を制作することを否定する趣旨を含むものとは解されない。したがって、本件要望が、統計学を駆使し、学術的に血液型人間学を研究しているという控訴人を侮辱したり、控訴人の名誉を毀損するものと解することはできないし、控訴人の表現の自由や幸福追求権を侵害するということもできない。

BPOの『「血液型を扱う番組」に対する要望』の抜粋

 

「血液型を扱う番組」が相次ぎ放送されている。それらの番組はいずれも、血液型と本人の性格や病気などとの関係があたかも実証済みであるかのごとく取り上げている。
(中略)

民放連は、放送基準の「第8章 表現上の配慮」54条で、次のように定めている。

(54)

占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない。

〔解説〕

現代人の良識から見て非科学的な迷信や、これに類する人相、手相、骨相、印相、家相、墓相、風水、運命・運勢鑑定、霊感、霊能等を取り上げる場合は、これを肯定的に取り扱わない。

これらを踏まえ、青少年委員会としては、「血液型を扱う番組」の現状は、この放送基準に抵触するおそれがあると判断する。

 

青少年委員会は、放送各局に対し、自局の番組基準を遵守し、血液型によって人間の性格が規定されるという見方を助長することのないよう要望する。

 

ソース:http://www010.upp.so-net.ne.jp/abofan/okano.htm

2016.8.31更新

BPOの「要望」は9件のクレームで出された?

岡野誠さんの最新刊『血液人間学は科学的に実証されている!~血液型は細胞型の問題と理解しろ!』が7月に発売されました。

p169から紹介します。

 

ところで、被控訴人[BPO]が指摘するBPOに伝達された視聴者からのクレーム件数とは具体的に何件だったのか。一審から再三に亘り、その質問を私が投げかけても無視される一方であった。正式に認知している数値は、本件要望に記載されている9件のみである。

(中略)

ここは、控訴審裁判官への正確な判断材料として、正確なトータルクレーム件数は何件だったのかをBPOは私[岡野さん]に返答すべきであった。この報告をBPOが高裁でも拒否したがため、クレームトータル件数は、9件と認定せざるを得ない。

 

この記述が事実だとすると、9件のクレームでBPOは血液型を「差別」と認定できることになります。少々信じがたい話ですが…。

こうなると、BPOの中立性や、この要望の妥当性について、少々疑問になってくるのは私だけなのでしょうか?

2016.7.18更新