統計データと血液型には相関がないという主張

1) 現代のエスプリ

これまで何人かの心理学者が、 血液型と性格との関連を実証的方法で反証し、血液型性格関連説を否定しようとしてきた。…

論文を一読すればわかるように、彼らの多くは「血液型性格関連説は間違っている」というアプリオリな立場を持っており、それを実証するために研究を行なっていることもまた確かである。

心理学者が血液型性格関連説に対して行う反証は二つのタイプに分かれる。一つは「性格検査」など「性格」を測定しているとされる外的基準と血液型との間に関連がないことをデータで示して、血液型と性格には関係がないと結論するものである。たとえば長谷川は、YG性格検査の類型分布が血液型によって変化しないことを示しているし、その他にもEPPS、SPIなどどの関係を調べた多くの研究が、それらの検査結果と血液型とに関係がないことを示して、血液型と性格との関係を否定している。
【出典】現代のエスプリ~血液型と性格  渡邊芳之さん 性格心理学は血液型性格関連説を否定できるか~性格心理学から見た血液型と性格の関係への疑義 p188 【1994年】

2) 信州大学 菊池聡さん

ただ、最近は血液型性格判断を撲滅しようという意識ばかりが先走って、適切でない批判をする人も散見される。

…「A型なのに、ぜんぜん凡帳面じゃない人はいっぱいいる」というように、血液型性格学に対する反証例を挙げる批判法。これも「身の回りの人が当てはまるから信じる」というのと同じ誤った考え方である。血液型学に限らず、おおよそすべての性格理論は統計的なものであって、集団全体の傾向としてしかとらえられない。たとえば筋肉を使った運動能力は女性よりも男性の方が優れていることに誰も異論はないと思うが、それでも特定の男性を取り上げれば、平均的な女性より力が弱い人はざらにいるだろう。

必要なのは個々の事例ではなく、統計的な事実なのである。

いずれにせよ、血液型性格判断はなぜ虚偽なのか、これは提唱者が言うような性格の差が、現実に信頼できる統計データとして見あたらないという点につきる。

【出典】月刊『百科』不可思議現象心理学9 血液型信仰のナゾ-後編 【1998年】

3) NATROMさん

NATROMさんからのメール 【2003年5月16日付】

「統計データがあればメカニズムは無視してもいい」と考えます。…私が問題にしているのは、メカニズムの不在ではなく、統計データが不十分であることです。

現在は、有意な差を示している論文やデータはいくらでもあるので、その点をNATROMの日記のコメント欄で質問したところ、“回答拒否”だけではなく質問することも自体も禁止されてしまいました(2013.9.7付)。

4) 大阪大学 菊池誠さん

きくち May 6, 2007 @11:05:11【2007年】

「多くの日本人が"関係あり"と思いこんでいるにもかかわらず、心理学の調査では関連が見いだせないほど、弱い相関しか存在しない」ということです。「弱い相関」もないのかもしれません。

エントリー:血液型と性格

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1158225244 [リンク切れ]

5) 日本パーソナリティ心理学会

残念ながら,血液型と性格の関係を主張する人々の中でそうしたデータを示している人はほとんどいませんし,そうしたわずかなデータも科学のルールに則っているとはとても認められないものばかりです。いっぽうわれわれ心理学者は血液型性格判断を生み出した責任をとって,自分たちで血液型と性格との関係について科学的なデータを集めてきましたが,そうしたデータからは血液型と性格の関係がほとんど確認できていないことはご存知の通りです。

http://jspp.gr.jp/doc/shakai00.html#02【2011年】

6) 文教大学 長島雅裕さん

血液型と性格の間に関係があるかどうかを調べる最も直接的な方法は、大勢の人々の血液型と性格を調べ、血液型ごとに特徴的な性格があるのかどうかを解析する、というものです(当たり前ですね)。…最もシンプルな方法は、アンケートを取り、自分の性格をどうみなしているかを訊くことです。…

決定的ともいえる研究が、1991年に発表されています。その要点だけ紹介します。…

血液型性格判断によると、「物事にこだわらない」はB型的な性格だそうですが、実際にはどうだったでしょうか。…

最も「物事にこだわらない」性格となる血液型が、調査ごとに違うのです。これは、この項目の差が有意だったことが、偶然に過ぎないことを示しています。

最も違いの大きな性格項目でこうなのですから、血液型と性格の間には関係は見られない、という結論になるわけです。

【出典】季刊 理科の探検 2015年4月号 特集「ニセ科学を斬る!リターンズ」p56-61 血液型と性格の関係を味わいつくす~科学教育教材としての「血液型性格判断」~【2015年】

7) 疑似科学とされるものの科学性評定サイト

データの再現性 (低)

能見正比古氏の著書(研究論文ではない)や「ABOの会」にて、血液型性格診断に関する肯定的な主張がこれまでに何度も発表されている。しかし、データの再現性という観点において、高評価を与えられる水準に達しているとはいえない。

http://www.sciencecomlabo.jp/fortune-telling/blood_type.html【2015年】 

2016.9.7更新

8) 山本弘のSF秘密基地BLOG

次は、山本弘さんのブログのコメント欄からです。【2015年】

 

 

山本さんは、宇宙人の目撃証言は信じていません。当然ですね。もちろん、私も宇宙人の目撃証言なんか全く信じてません(笑)。それでは、宇宙人は絶対に存在しないかというと―少なくとも科学的には―完全な否定はできないでしょう。この点では、彼と私[山本さん]は全く一致します。

では、同じことを血液型に当てはめてみます。そうすると、

 ①宇宙人の目撃証言(統計データの差)がある

 ②紹介した論文で①の目撃証言(統計データ)は妥当という結論かどうか

 ③山本さんは②の論文の結論を妥当だと判断するか

という3種類に分けての分析が必要になります。

まず、松井豊さんの論文[サンプル1万人]から行きましょう。この論文では、松井さんも山本さんも確かに①について(一部)認めています。では、②はどうか? これは松井さんも山本さんも頑として認めていません。②を認めていないのだから、③はバッサリ切り捨てられます。

ところが―非常に奇妙なことですが―坂元[章]さんの論文[松井さんの論文と同じやり方で、単純にサンプルを3万人にまで拡大したもの]については、山本さんは①②③とも曖昧なままです。実に不思議というしかありません。実は、坂元さんは原論文に「血液型と性格の自己報告との間の相関は、弱いが認められた」とあるとおり、①②は認めているのです。それなら山本さんが③も認めてよさそうですが、なぜか曖昧なままになっています。

Posted by ABO FAN at 2015年06月24日 23:42

山本弘のSF秘密基地BLOGより
http://hirorin.otaden.jp/e421420.html#comments

 

 

読めば判るように、この私のコメントには山本さんからの直接的な回答は何もありません。更には、これ以上の議論は拒否というおまけ付きです。

そもそも、山本弘さんのような有名人が、私のような素人に関わる必要なんてありせん。それが、私から統計の話が出たとたんに「議論拒否」というのは、実に素直な方のようです。

#もしかすると、統計がわかっているので議論拒否なのかもしれませんが…。

 

これまでの事例から、あなたと議論しても不毛であることはすでに証明されています。ですから僕はあなたと議論する気は毛頭ありません。

そんな無駄なことで時間を浪費したくないんです。

今後、何か議論を挑んでこられても削除します。

Posted by 山本弘 at 2015年07月13日 16:40

2016.9.9更新