「統計的に差がある」という論文

昔は、血液型と性格には「統計的な差がない」というのが心理学の「定説」でした。しかし、2004年の血液型ブーム後に、「統計的に差がある」という論文が続々と発表され始めたのです。

「統計的に差がない」という従来の「定説」は、完全にひっくり返ってしまったと言っていいでしょう。結果として、心理学の定説が、「統計的に差がある」という私の主張に一致することになりました。少なくとも、性格の自己報告では…。

しかし、本当に「定説」がこんなに簡単に正反対に変わってしまっていいものなのでしょうか?

2016.8.22更新

武藤・長島さんらの科研費研究成果報告書[推定20万人]

まず最初に、科研費の研究成果報告書を紹介します。

 

武藤浩二・長島雅裕ほか 2012年

教員養成課程における科学リテラシー構築に向けた疑似科学の実証的批判的研究 2011年度科研費報告書
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22650191/

 

→血液型による違いが統計的に明確に有意であることが示された。

 

さて、この報告書には血液型と性格には安定した関連が見られるとあります。しかし、お恥ずかしいことですが、初めてこの報告書を読んだときは何も感じませんでした。なぜなら、サンプル数が明記されていなかったからです。当時の私は、サンプル数が書いていない→小規模な調査と思い込んでいたのです。

ところが、再確認してみたところ、この研究のサンプルは20万人!という驚くほど膨大であるものと推定されました。

こうなると、血液型により「統計的に差がある」ことは、もはや揺るぎない事実だと言ってもいいでしょう。

2016.8.22更新

2005年以降の代表的な心理学論文

次には、代表的な論文をいくつか引用しておきます。

専門的な内容なので、理解するのが難しいかもしれません。

簡単に解説しておくと、これらの論文で、「血液型ステレオタイプに合致するような自己評価が認められた」「血液型の主効果が認められた」「血液型の交互作用が有意だった」というのは、性格の自己報告で血液型本に言われているとおり統計的な差が出たということです。なお、1.2.と6.は2005年より前の論文です。

  1. 山崎賢治・坂元章(お茶の水女子大学) 血液型ステレオタイプによる自己成就現象-全国調査の時系列分析- 日本社会心理学会第32回大会発表論文集 【1991年】 →血液型と性格の自己報告との間の相関は、弱いが認められた。さらに、一般の人々の性格の自己報告は、大学生の血液型ステレオタイプに合致していることがわかった。
    http://www010.upp.so-net.ne.jp/abofan/sakamoto.htm
    http://www.bunken.org/jssp/conf_archive/detail.php?s=1991-Z-0288[本文なし]
  2. 白佐俊憲 血液型性格判断の妥当性の検討(2) 北海道女子大学短期大学部研究紀要【1999年】→結果は、「血液型と性格とは何らかの関係がある」、「血液型によって性格特徴が異なる」、「四つの血液型には特徴的な性格傾向がある」などという説を、非常に漠然とした弱い関係のものとしてではあるが、支持するものであった。
    http://ci.nii.ac.jp/naid/110006603993
  3. 山岡重行(聖徳大学) 血液型性格項目の自己認知に及ぼすTV番組視聴の効果 日本社会心理学会大会第47回大会発表論文集 【2006年】→高受容群では11項目で血液型の主効果が認められ、低受容群でも2項目で血液型の主効果が認められた。
    http://www.bunken.org/jssp/conf_archive/detail.php?s=2006-E-0375
  4. 久保田健市(名古屋市立大学) 潜在的な血液型ステレオタイプ信念と自己情報処理 日本社会心理学会大会第48回発表論文集 【2007年】→特性語の種類の主効果(F(1,32)=9.80, p<.01)と特性語の種類×参加者の血液型の交互作用(F(3,32)=3.22, p<.05)が有意だった…定義づけ課題の結果についても,同様の2要因分散分析を行ったところ,特性語×参加者の血液型の交互作用が有意だった
    http://socio-psych-ncu.cocolog-nifty.com/blog/files/bp_jssp48.pdf
  5. 工藤恵理子(東京女子大学)自分の性格の評価に血液型ステレオタイプが与える影響 日本心理学会第73回大会発表論文集 【2009年】→全体として、血液型ステレオタイプに合致するような自己評価が認められた
    http://www.psych.or.jp/meeting/proceedings/73/contents/poster/detail/1pm042.html
  6. 山岡重行(聖徳大学)血液型性格判断の差別性と虚妄性(自主企画(2)) 日本パーソナリティ心理学会第18回大会発表論文集【2009年】→山岡は、1999年から2009年にかけて大学生を対象に血液型性格の調査を行っている(有効回答数=6660)…血液型項目を用いて自己評定をさせると多くの項目で血液型による有意差が見られる
    http://ci.nii.ac.jp/naid/110007674296
  7. Sakamoto, A., & Yamazaki, K. (2004) Blood-typical personality stereotypes and self-fulfilling prophecy: A natural experiment with time-series data of 1978-1988. Progress in Asian Social Psychology, 4, 239-262.【2004年】→This indicates that blood-typical personality stereotypes actually influenced the personalities... このことは、血液型ステレオタイプは現実に個人の性格に影響していることを示している... 【1.の再分析】
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/advpub/0/advpub_85.13016/_article/references
  8. Beom Jun Kim, Dong Myeong Lee, Sung Hun Lee and Wan-Suk Gim (2007) Blood-type distribution; Physica A: Statistical and Theoretical Physics 373( 1), 533-540 【2007年】
    → A psychological implication for the case of B-type males is also suggested as an effect of a distorted implicit personality theory affected by recent popularity of characterizing a human personality by blood types.
    [大意]MBTI検査では、ただ1つB型男性を除いては血液型による差がなかった[=B型男性には血液型本に言われているとおりの差が出た]。これは、血液型ブームによる歪みが現れたものと考えられる。
    http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378437106006327

差が出ることは心理学的に説明できる

ここで、心理学ではどのようにして人々の性格を測定するのか、かいつまんで説明しておきましょう。

多くの性格テストは、性格を表す「言葉」による「自己報告」によって、その人の性格を測定できるという原理に基づいて作成されています。 例えば、あなたは神経質ですか?というような質問に、1(全くあてはまらない)~5点(非常によくあてはまる)の間で答えるといったようなものです。

 

ここで、日本人のほぼ7割は「血液型と性格に関係がある」と思っていることを思い出してください!

 

ソースの例:日本のダイモンダイ(2015年11月8日放送)

 

回答人数 201,119人

 

これは、「言葉」による性格の「自己報告」が、自分の血液型によって違うということとイコールです。すると、少なくとも理論的には、心理学で血液型による性格の違いを測定できることになります。
なにしろ、このことを否定することは、心理学自体を否定することになってしまいますから…。
次は、心理学の専門家による説明です。

 

自己報告型の質問紙調査の結果は,通常「その人の性格そのもの」を表わすと受け取られている(「その人の性格」ではなく,あくまで「その人の性格の認知」を表わすというふうにもってまわった考え方は普通しない)。

【出典:白佐俊憲・井口拓自 血液型性格研究入門】

 

結局、リクツで考えると、心理学による性格テストでは、必ず血液型によって性格の差が現れます。性格のアンケート調査でも同じこと。なぜこんな簡単なことに、今まで誰も気が付かなかったのでしょうか?

2016.9.10更新

日本では「血液型と性格」の研究はタブーなのか?

どうやら、日本の心理学会では「血液型と性格」の研究は完全にタブーであり、「関係がある」などという論文が認められる可能性は限りなくゼロに近いようです。

 

なぜなら、日本語の「査読あり」の心理学論文では、データにがあるというものは発見できないからです

一方、英語や韓国語などの外国語の「査読あり」の論文では、データにがあるという論文はゴロゴロしています(笑)。

 

では、日本にはデータに差があるという論文はないのでしょうか?

いや、そんなことはありません!

日本人が書いた査読あり論文でも、日本語ではなく英語のものなら、データに差があるというものはいくつかあります。また、日本人が日本語で書いたものでも、査読なしであれば、データに差があるというものは決して珍しくありません。

しかし、上に書いたように、心理学的には「必ず差が出る」のですから、日本人が日本語で書いた場合に必ず「差がない」という結論は、明らかにおかしいのです。

ということですから、日本語の論文では、執筆者が(日本人の)査読者の意図(=血液型によるデータの差があるはずがない!)を“忖度”している可能性が高いことになります。

 

参考までに、次はデータに差があるという代表的な論文です。

 

【日本語・日本人】→すべて査読なし

  • 山崎賢治・坂元章(お茶の水女子大学) 血液型ステレオタイプによる自己成就現象-全国調査の時系列分析- 日本社会心理学会第32回大会発表論文集 【1991年】
  • 白佐俊憲 血液型性格判断の妥当性の検討(2) 北海道女子大学短期大学部研究紀要【1999年】
  • 山岡重行(聖徳大学) 血液型性格項目の自己認知に及ぼすTV番組視聴の効果【2006年】
  • 久保田健市(名古屋市立大学) 潜在的な血液型ステレオタイプ信念と自己情報処理【2007年】
  • 工藤恵理子(東京女子大学)自分の性格の評価に血液型ステレオタイプが与える影響【2009年】
  • 山岡重行(聖徳大学)血液型性格判断の差別性と虚妄性(自主企画(2))【2009年】

【英語・日本人】査読あり

  • Sakamoto, A., & Yamazaki, K. (2004) Blood-typical personality stereotypes and self-fulfilling prophecy: A natural experiment with time-series data of 1978-1988. Progress in Asian Social Psychology, 4, 239-262.【2004年】
  • Shoko Tsuchimine, Junji Saruwatari, Ayako Kaneda, Norio Yasui-Furukori (2015) ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects, Plos One. 【2015年】

【英語・韓国人】査読あり

  • Beom Jun Kim, Dong Myeong Lee, Sung Hun Lee and Wan-Suk Gim (2007)  Blood-type distribution【2007年】

【英語・イラン人】査読あり [2017.8.3追記]

  • Fatemeh Beheshtian, Roghayeh Hashemi and Zolfaghar Rashidi (2015) The Five Personality Factors over the Students with Four Blood Types. 【2015年】
  • Mohammad Sharifi, Hamza Ahmadian and Ali Jalali (2015) The relationship between the big five personality factors with blood types in Iranian university students. 【2015年】

【韓国語・韓国人】査読あり

  • So Hyun Cho, Eun Kook M. Suh, Yoen Jung Ro (2005) Beliefs about Blood Types and Traits and their Reflections in Self-reported Personality.【2005年】  
  • Sung Il Ryu, Young Woo Sohn (2007) A Review of Sociocultural, Behavioral, Biochemical Analyses on ABO Blood-Groups Typology.【2007年】

これを直接・間接的に裏付ける証拠もあります。

例えば、筑波大の清水さんの報告では、

 

今後の[日本の心理学会の]研究論文は,[血液型と性格に関係があるという]関連説を肯定的に支持する内容が含まれる限り,全て掲載に値しないという判断が下される可能性が極めて高いことになる。やはり,掲載を認めるわけにはいかないという結論が先にあるように感じられる。【清水武 心理学は何故、血液型性格関連説を受け入れ難いのか―学会誌査読コメントをテクストとした質的研究】

 

また、日経ビジネスオンラインの記事によると、東大の四本裕子さんは「サイエンスとしての心理学の講義をとる以上、そこのところはちゃんとしてほしいです。血液型性格判断は、もう100パーセント非科学的」と決めつけているようです。

東大の心理の権威が、血液型を「100パーセント非科学的」と決めつけているなら、査読ありの心理学論文が掲載されるのは「100パーセント」ないでしょう(苦笑)。

 

その意味では、日本パーソナリティ心理学会のホームページの次の記述は、そういう事情をうまく表していると言えるでしょう。

 

われわれ心理学者は血液型性格判断を生み出した責任をとって[注1],自分たちで血液型と性格との関係について科学的なデータを集めてきましたが,そうしたデータからは血液型と性格の関係がほとんど確認できていないことはご存知の通りです。

[注1]血液型性格判断の基礎を作った古川竹二(1891-1940)は昭和の初めに活躍した心理学者・教育学者です。 

【出典:日本パーソナリティ心理学会の公式サイト

 

2017.4.1作成 2017.8.4追記